2010年11月15日月曜日

かそけき高揚

信《降龙乐章》

木立を抜け
其処だけに光が集約し

私は沼の淵にしゃがみ
指の背で
水面を愛撫する

消え入りそうな波紋が
それでも広がって広がって
かそけき高揚が広がって広がって

向こう岸にいる
あなたに届かない

としたら

向こう岸にあなたがいて
小石を水面にひとつ

私達は幾つもの訳を
体に詰め込んで
岸辺に立つ

無為に
水の上に輪を作り

返事の要らない便り
送り主のいない手紙
認(したた)めることのない文字の羅列
徒労を封印しては宛て先不明で返って来る

黙り込んで
其処にだけ光が集約している沼
私はしゃがみ
指の背で
虚しく

2005年