- Within Temptation (Lyrics) -The Truth Beneath The Rose

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涸れた倦み

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    5 年前

涸れた倦み

2011年12月10日土曜日

生きるには


生きるにはごはんを食べればよい
生きるには死ななきゃいい
生きるにはきれいないろの服を着て
我を忘れ盛りの歌を歌えばよい

もっともちいさいものであればよい
とにかく世に知られずひっそりいればよい
生きるには生きればいい
暑い日が続けば水に体を捩(ね)じ込む
寒い日が続けば氷を割って底に沈む

生きるには一人用のこころがあればいい
生きるには一人分の食器に一人分のスプーン
禁じられた食卓の触れないうわさ
一人用の寝台に一人分の乱れ
生きるにはすっかりなくす生き物の殻

有るしあわせ
しあわせを持つ
しあわせを待つ
生きるには一列にしあわせをいくつ並べよう
胸に宛てて送り届けられる打ち消しの文字
見えないものを見て、見えるものを見て
見ていないわ
見えなかったの

生きるには夜、一時(いっとき)ゆめをみたい
生きるには朝、二つに千切った希望の形を二人で分け合いたい
何もかもがいやになる
行方、流れ去る時

男はおんなに
女はおとこに
ことばを捨てて
正義を捨てて
此の世の生を捨てて
と云えない

生きるには何もしないでいればよい
生きているから
今日が流れ
明日が流れ
希望は日に映えて

生きるには苺のようにかわいくあればよい
わずかなしあわせを胸に抱き
大きな木の影に眠っていればいい
生きるには眠りかけたらそのままみんな忘れてしまえばいい

生きるには昨日に手を加えて
生きるには聖書に手を加えて
生きるには良心に手を加えて
過ぎた物と
完全な物と
手の込んだ物と
分厚い物を
欠けた爪としてすっかり切ってしまえばよい

生きるにはひょっとしたら死んだように悄悄(しおしお)と暮らせばよい
理性と感性に通じる道を破壊し迷い子になればいい
その道に美しい花を植え新しい歌を口ずさもう

生きるには狭い心をなるったけ心細く保ち
門を閉じ雨戸を閉め部屋を真っ暗にする
暗闇には小さなろうそくの灯かりがあればよい
庭には雀の網を張ればよい
雀がかかれば身代わりにわずかの涙を流せばよい

生きるには風に靡(なび)き雨に濡れ非を打たれればよい
生きるには陽を浴び水を浴び酒を浴び非を認めればよい
ガラスの破片を撒いて血を流す
無駄口を利いて胸をずたずたに引き裂く
生きるには弱弱しくよろめきながら歩けばよい

夜眠り朝目覚めればいい
眠って起きて嘆きの荷を水に流せばいい
この上なくひそやかないのちを針と糸で侵入から守ればよい

生きるには手の平にある未来を全部なくして孤独に暮らし
処方された夢を投げ捨て
世界に割り当てられる鈍感な主義思想に属さない
生きるには降る幸と吐息のサラダを作って食すればよい

理不尽に振り返らないばかりに
おどけた手と縛られた足から成る
狂おしいほどの落下に殉じ
空一面物さびしく
口いっぱい十字架をほうばる

生きるには瓶の中の根を弄び
底に渇きを張り付け
許された裡なる所有をアルコールに浸す
生きるには声と涙、倶(とも)に下る烈しい炎
灼き尽くす私の席

生きるにはえとらんぜ
背に負う負極
のちの時代に成し遂げられる独立を支持する
かかとの辺(あた)り、定められた時刻
ガラスの靴、ガラスの空間
小声で囁く、「しあわせは零時に」

荒れ果てた城
不可能はなかった
意味を持つ行動と意志の統制
歪曲された人の絵姿
生きるには服従の方式を採用する

生きるには今日はまた違う今日を
明日はまた俗悪な今日を
いつまでも見つからない燃やした手紙と捨てたあるばむ
生きるには道端にあるとは限らない愁えをひも解く

雨に打たれて情けなく
風に揺れて情けなく
花を摘むのに明け暮れる
報われたい、裏切られたい、求められたい
生きるには形どった花を象(かたど)る

生きるには生きた空白に偏(ひとえ)に煩わされ
生きるには生きる幻想に深く恥じ入り
今熱情の欠如に打ちひしがれ
貴方の愛した楽園に向かう

幕が下りるまでのろのろ生きればよい
常軌を逸したくちびるの虜(とりこ)となり
生きるにはスプーンで言い知れぬ傾倒を注ぎ
全権のテーブルを離れればよい

生きるには自由への途(みち)を正しく歩くだけで
誓いを固く守るだけでいい
裏付けられる何ものもいらない
今日でさえ誤解に息を呑む
明日生きるには窓を開け朝の光の中で大きく息を吸う
数多(あまた)の星を見て大きく息を吐く

ぼんやり座る窓辺
落ちた花は何かを思い出させる
何も思い出したくなければ息を呑み込めばいい
この上ない父と母の下で言い訳をし危険に強く惹かれる
生きるには傾く思いを露(あらわ)に自制を捨てればよい

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