西島三重子 夕闇のふたり
過ぎた日
過ぎた時
過ぎた人
私はひとり立っていた
青い広々とした原っぱ
何処かには行けるはずの道
光りを失った砂の上
私は見ていた私を
私は話さなかった私を
あなたはいた私の目の前に
私はいた貴方の目の前に
貴方を見ていた
秋が過ぎ
冬が留まり
春が巡る
愛されたかった
灰色の空
退屈な街
遠い日
私はひとり見ていた
日を浴びて窓辺で
雨に濡れた鉄棒を
凍った路上の葉のない樹
私は憎んでいた私を
私は忘れられなかった私を
貴方は捨てられなかった貴方を
貴方を見ていた
昨日が留まり
今日が暮れて
明日が遠い
愛されたかった
往く人
移ろう季節
褪せる景色
私はひとり立っていた
道は途切れ
小さな海が切り取られ
飛ぶ鳥は時空を失う
私は生きようとした私を
貴方は生きようとした貴方を
二人は限られていた
二人は定められていた
日は始まり
日は終わり
人は水の辺(ほとり)
愛されたかった
蓄えられた光
自由な線
仮初めの岸
私はひとり見ていた
波乱のない劇を
贈られるばらを
石ころのような晩に鞄に折り畳む手足
私は逃げようとした私から
貴方は見つめていた私を
貴方は逃げようとした私から
私は明らめていた貴方を
あらゆることを求め
あらゆることがいやになる
その昔
終わり頃(ころ)
いろいろの人
愛されたかった
22:06 2011/11/04金曜日
12:37 2011/10/12水曜日
又この詩をもう少し長くします。
来週の月曜日頃まではこの続きを書けるかな?・・と思っています。
それから後のことは
それから後になると
決められるかも知れません。
言葉のひとつひとつがわたしのものであるかのように想えて
なにもかもがわたしのためにそこにあるように想われて
どんなことばでもわたしのためにつくられたものであるかのように想えて
詩を書くことがどんなに素晴らしい作業であるか悦びであるかいま感じています。
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