涙の連絡船
「安楽死や尊厳死に関する尊厳死協会の意向を基に、日本医師会、尊厳死協会を糾弾する私が創った物語」
「もう回復の見込みはない。」と、医師は、妙に神妙な声で、私の目の奥を覗くようにして言いました。
こうして、ほんの束の間、貴方の傍らを離れてしまうと、直ぐにでも貴方の命のともし火は、消えてしまいそうな気がします。
は、何をどうしたらいいのか、何をどうしたのかさえ分からずに、洗い物を纏め、病室への廊下を慌てて引き返すのです。
不思議なほど冷たく感じる、貴方が横たわる部屋の扉のノブを回します。
現代の医療は、貴方を生かし続ける事も可能だと言いますが、私や医師や医療機器が、貴方を生かすのではなく、貴方は、今生きて私の元へ帰るために懸命に闘っているのだと思います。
貴方の肌が、私の肌に比べて体温が低いとは、どうしても思えません。
人工呼吸器に繋がれた貴方は、まるであの世への道を罪人として辿っているかのようです。
貴方は、自分で息をしていた。
しかし、ICUに入れるや否や、医師と病院は、貴方を深く眠らせ、人工呼吸器に繋ぎました。
人工呼吸器は、医師や病院が、「この人を私共が殺します。」と、残酷な声明文を読み上げる拡声器の代わりのように思われます。
「ひとたび延命措置を始めたら、外すことは容易ではない。」などと・・・
ひとたび医師や病院が決定を下したら、患者とその家族は、その意志を尊重されることはないとでも言いたげです。
あらゆる手段を使って生き延びる人はいません。
生き延びる手段など、病院の中には全く見当たりありません。
医師の白衣は、まるで死人の装束です
人工呼吸器に繋がれた瞬間が、死の宣告の時です。
人工呼吸器は、医師の自殺幇助装置です。
貴方がどんなに辛くても病気と闘うのなら、私も、貴方が元気になる日まで闘います。
私は、耐え難い苦痛を強い、その苦痛を麻薬で和らげるだけの医師や病院と決別し、生命を維持する装置を外します。
そして貴方を家に連れて帰ります。
回復の見込みのない病気などありません。
皮膚の傷が直ぐに癒えるように、貴方に起きた致命的症状も癒えます。
息さえしていてくれればいい、機械が助ける呼吸ではなく、貴方自身が、喩え弱くても、息をしていてくれるだけでいい。
生きていてくれさえすればいい。
貴方がもし死ねば、その原因は、人工呼吸器にあります。
医師と病院と医療機器メーカーは、自立呼吸している人間に、麻酔薬を打ち、呼吸器に繋ぎます。
以上、「安楽死や尊厳死に関する尊厳死協会の意向を基に、日本医師会、尊厳死協会を糾弾する私が創った物語」。
柳田邦男次男洋二郎君は、人工呼吸器に繋がれました。
彼は、長い間心と眼差しを、鎖に繋いだまま引き回され、その時、有無を言わせず私達人間が、洋二郎君を十字架に架けました。
一般社団法人 日本尊厳死協会
回復の見込みがなく、すぐにでも命の灯が消え去ろうとしているときでも、現代の医療は、あなたを生かし続けることが可能です。
人工呼吸器をつけて体内に酸素を送り込み、胃に穴をあける胃ろうを装着して栄養を摂取させます。
ひとたびこれらの延命措置を始めたら、はずすことは容易ではありません。
生命維持装置をはずせば死に至ることが明らかですから、医師がはずしたがらないのです。
「あらゆる手段を使って生き延びたい」と思っている多くの方々の意思も、尊重されるべきことです。
一方、チューブや機械につながれて、なお辛い闘病を強いられ、「回復の見込みがないのなら、安らかにその時を迎えたい」と思っている方々も多数いらっしゃいます。
「平穏死」「自然死」を望む方々が、自分の意思を元気なうちに記しておく。
それがリビングウイル(LW)です。
尊厳死の宣言書
( リビング・ウイル Living Will )
①私の傷病が、現代の医学では不治の状態であり、既に死が迫っていると診断された場合には、ただ単に死期を引き延ばすためだけの延命措置はお断りいたします。
②ただしこの場合、私の苦痛を和らげるためには、麻薬などの適切な使用により十分な緩和医療を行ってください。
③私が回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥った時は生命維持措置を取りやめてください。
以上、私の宣言による要望を忠実に果たしてくださった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従ってくださった行為一切の責任は私自身にあることを附記いたします。
年 月 日
自署
組織図・役員一覧
名誉会長
井形 昭弘 医師、名古屋学芸大学学長 愛知
顧問
牛尾 治朗 ウシオ電機株式会社会長 東京
扇 千景 元参議院議長 東京
奥田 碩 元トヨタ自動車株式会社代表取締役会長 愛知
吉永みち子(競馬・日本財団) 作家 東京
理事長
岩尾 總一郎 医師、慶應義塾大医学部客員教授 神奈川
副理事長
青木 仁子 弁護士、東海支部長 愛知
鈴木 裕也 医師、埼玉社会保険病院名誉院長、関東甲信越支部長 埼玉
長尾 和宏 医師、医療法人社団裕和会理事長、関西支部長 兵庫
常任理事
安達 俊郎 本部事務局長 東京
金川 琢雄 医師、金沢医科大学名誉教授、北陸支部長 石川
川合 昇 元会社役員、北海道支部長 北海道
古賀 順子 前家裁調停委員 愛知
信友 浩一 医師、九州大学名誉教授 福岡
野元 正弘 医師、愛媛大学大学院教授、四国支部長 愛媛
橋村 襄 元新聞社論説委員、東北支部長 宮城
原 信之 医師、財団法人福岡県すこやか健康事業団会長、九州支部長 福岡
藤嶋 喬 会社役員、元銀行役員 東京
古田 隆規 弁護士、元日本弁護士連合会副会長、中国地方支部長 広島
理事
稲子 俊男 元飲食店経営 埼玉
江端 英隆 医師、医療法人札幌徳洲会病院健康管理センター長 北海道
納 光弘 医師、公益財団法人慈愛会会長 鹿児島
小澤 和夫 吹田ホスピス市民塾会長 大阪
小原 芳郎 団体職員 神奈川
丹澤 太良 元会社員 東京
畑中 治朗 社会福祉法人役員 京都
波多野 幾也 著述業 長野
山村 均 医師、公益社団法人岐阜病院理事長 愛知
吉成 健吉 会社員 東京
監事
石原 光義 公認会計士、税理士 神奈川
茂木 敬司 会社顧問 東京
和田 義博 公認会計士、税理士 東京
22:27 2014/02/24月曜日
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