五輪真弓 - 悲しみにまかせて
無口に行く先は私の小さな海
閉ざされた空をかもめが低く飛ぶ
退屈なんて
きれいな口実で
退けたアナタの躊躇いが
出て行く私を見送る
無感情に打ち明ける憂い
私の海が揺れる
どこにもない
明日への予感
縺(もつ)れた思惑を
アナタの眼差しに探した
柔らかく包み込む理解という否定
煉瓦の道をひとり歩くと
私はただの通行人に過ぎなかった
枯葉は色褪せ
私のいる景色は惨めに黄昏ていく
アナタといた夏の砂が
今も体に残っている
ほろってみたり
口にじゃりじゃり含んでみたり
もうどんな感情も呼び戻せない
灰色の空にかもめが消え
私の小さな海は揺れる
2004年11月
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