合鍵 (Stereo)
例えば一日が公園のベンチで終わるとして
肌は 汗、泥、排気ガスが堆積して角質だらけ
髪は潤いもなく、衣服が薄汚れ強い悪臭で
振り向かれる事もなく
寧ろ振り返りざまつばをかけられたとして
誰がどの様な目で見ても
同情或いは侮辱以外形容する言葉が見当たらないとして
何故不幸と決めつけられなければならない
何故社会のつまはじき者と蔑まれなければならぬか
貧民街に住んで貧しさを極めていたとしても
道ゆくヒト、政治家、革命家、ボランティア
誰の目にも見えはしない
誰も見ようとはしない
レッテルが彼らの五感を塞いでいる
ヒトは自由である何時の場合も
私には私の誇りがあり
私には私の幻の家があり
私には私の恋があり
私には私の翼がある
見えるものが全てではない
呟く言葉が私そのものではない
そのことを誰もがよく知っているだろうに
ヒトは
解き放たれている
深く心を閉ざす時でさえ
胸に青い空を描き
頭上高くとんびのように旋回する
或いは今日のような満月の夜は煌く星となろう
たまたま労働にありつけたらこの上ない喜びで
むせび泣くだろう
肉体の極限まで労働する
其の事の至福の歓びを
知らずに人は死ぬ
私達は迂闊に口にしてはならない
連帯しようなんて
高見の見物の時に使う台詞
連帯しようなんて
2005年12月
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