お母さんあなたはわたしを愛せませんでしたね
あなたの容れものに定まらない子供でした
食卓を囲む不義を憎みました
汚れた食物に手を着けることができませんでした
男に仕える女の重荷が忌まわしく
不器用なひとと空腹の前で
わたしはあなたを恨むこともなくわたしはわたしを裁きました
水を飲むように得られるものがわたしにはありません
渇いて臥す砂の上
終わらない夏
身を隠す岩影が見あたりません
傾いた愛の容(かたち)は抱擁でした
身を焼き尽くしわたしを沙(すな)に返すことでした
血の煮え滾(たぎ)る悦び
眩しいほど汚れる肉に殉じる哀
放り出す魂の明日
投げ出したい清いいのち
砂の上青い空
寄せては返す波
目を瞑ると潮の鼓動
果てしない海原につながれて
お母さんあなたにはもう逢えません
わたしはちぐはぐに海の上を旋回するかもめでした
お母さんわたしはそれでも遠くにあなたを愛しました
愛することは愛を説くことではありません
愛さないことは愛せないわたしを作ることではありません
愛せないことは愛の軽さばかり口にするわたしを育てることではありません
お母さんあなたが愛せない理由を持ったために
わたしは愛の意味を求めました
愛だけがひとを救うとあなたは教えました
暗い森を住処とし
分け合う林檎を求めてわたしは地の果てまで歩きました
愛はうつくしい虹の橋でした
愛は血と血の偽りの誓いでした
今日も
砂の上青いだけの空
寄せては返す波
潮は引き
わたしの手の平に遙かな沙
波に砕かれた骨
引き裂かれたひとの確かな愛が
2:58 2010/04/04 月曜日
あなたの容れものに定まらない子供でした
食卓を囲む不義を憎みました
汚れた食物に手を着けることができませんでした
男に仕える女の重荷が忌まわしく
不器用なひとと空腹の前で
わたしはあなたを恨むこともなくわたしはわたしを裁きました
水を飲むように得られるものがわたしにはありません
渇いて臥す砂の上
終わらない夏
身を隠す岩影が見あたりません
傾いた愛の容(かたち)は抱擁でした
身を焼き尽くしわたしを沙(すな)に返すことでした
血の煮え滾(たぎ)る悦び
眩しいほど汚れる肉に殉じる哀
放り出す魂の明日
投げ出したい清いいのち
砂の上青い空
寄せては返す波
目を瞑ると潮の鼓動
果てしない海原につながれて
お母さんあなたにはもう逢えません
わたしはちぐはぐに海の上を旋回するかもめでした
お母さんわたしはそれでも遠くにあなたを愛しました
愛することは愛を説くことではありません
愛さないことは愛せないわたしを作ることではありません
愛せないことは愛の軽さばかり口にするわたしを育てることではありません
お母さんあなたが愛せない理由を持ったために
わたしは愛の意味を求めました
愛だけがひとを救うとあなたは教えました
暗い森を住処とし
分け合う林檎を求めてわたしは地の果てまで歩きました
愛はうつくしい虹の橋でした
愛は血と血の偽りの誓いでした
今日も
砂の上青いだけの空
寄せては返す波
潮は引き
わたしの手の平に遙かな沙
波に砕かれた骨
引き裂かれたひとの確かな愛が
2:58 2010/04/04 月曜日