森進一 東京物語
土に埋めたことがあります
おままごとのちいさなおさかな
腹を割いて切り刻んでお刺身にして埋めました
あのかわいい女の子の赤いおちゃわん
すっかり忘れていました
意地悪したのは生まれてそれ一回きり
秘密を持ったのも一回きり
いけないことをしたのですぐに忘れてしまいました
土に埋まっているのはいけないものばかり
だからあなたを土には埋めません
わすれてと言いました
わすれてくれないので
捨てられません
あなたを待たせました
あなたは待ちました
わたしは待ちました
待つのはあなたなのか
わたしの癖なのか
アイセナイオンナは愛のない人を愛したい
アイセナイオンナは愛の洪水に溺れません
不しあわせ好みのおんなはかりっと曖昧(あいまい)
あーもんどちょこれーとをせっせと運んだ貴方(ひと)
あなたはわたししかアイセナイ
わたしは灰しかアイセナイ
あなたの灰も畑で焼いたかぼちゃの蔓(つる)も灰色
運河で魚が跳ねます
白い腹が死に向かいます
指を吸います
血が滲んで
20:41 2010/08/04 水曜日
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