西島三重子 夕闇のふたり
引き受けなければならなかった
許さない綿を詰めた人形
手も足も胸もやわらかく虐げられ、解(ほぐ)れない
日は去り今も悲しみは横たわる
開けないままのあなたのノート
言葉が紙の上で縺れ白い画面が文字を呑み込む
委ねる紙も縋(すが)る紙も破り捨て
逃げられない九月の空は鈍く青い
泣くことも奪われ許さない許されない季節
山をあなたの血の色が塗る
ひとみを欠いた人形
こころを失ったモノの言い知れぬ感傷
目も耳も口も朽ち果て、私で在る
18:43 2011/09/23金曜日
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