うつろな愛/カーリー・サイモン You're So Vain/Carly Simon
お前が喋る言葉が分からない
頭が痛くなる
お前のひどく醜い唇から零れ落ちる怒りが分からない
呆けてお前を見ていると
お前の舌をちょきんと切りたくなる
お前のこんがらがった
心と記憶と情報の鎖を
ちょきんと切りたくなる
お前の喋る言葉が耳障り
疲れる周波数
この座席くたびれる
人を敷き詰めてある
面倒な面倒な人をびっちり敷き詰めてある
絡み合う舌と舌
この席でお前の言葉を聴いていると眩暈(めまい)がする
お前が喋る言葉は分からない
何度も聞いたが覚えられない
突然私を通せんぼするこんがらがった言葉
お前は身をほぐせない魚
はらわたを掻き出して見たら支離滅裂
はらわたにだって理路整然はあるというのに
お前は大きな腹を突き出して
垂れた尻を振って出て行った
私は今も呆けている
お前は醜いひどく醜い
だがもういい
明日からわけの分からない言葉が飛び交う
わけの分からない言葉に答えを迫られる
もういい
分からない言葉は分からないのだ
お前の言葉に意味など元からない
いつも意味があると思ってしまうが
一語一語ただの記号だ
断絶した世界でお前を眺める
ニ幕目も私は項垂れたのだ
深く項垂れているのだ
だが外は光が満ち窓辺のアメジストセージに降り注ぐ
閉じた窓閉じたブラインド
開きかけた私の無残な魂
これはきっと何か良い兆(きざ)し
立ち止まっていられない
前に一歩歩を進めよう
闇を抱いたまま光に向かおう
これは良い兆し
くたびれた私をここから救う荒業
おそらく無駄な忍耐など必要ないのだ
悔しさなど後追いしてみても消耗するだけだ
またひとつ大人になる
まだら模様のゾーンで生きる術を学ぶ
涙はもういらない
不幸に凭れかかる時間はない
これは良い兆し
光の差す方向に向かおう
2005年11月9日水曜日0:13:32
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