中森明菜 雨が降ってた
行き着くところがあって
もの皆憩う地があって
足掻いた分報われたとして
苦悩が優しさに変わるなんてことが
起こり得るとして
きょとんとして
しまうのです
そこは狭い場所で
右手に高い
空まで伸びている
やたら白い壁
引き返そうかよじ登ろうか
思案に暮れる亡霊のあやふやな影
望むことなど何もない
幸せの在り処(か)など探していない
欲しいものなど何ひとつない
何処にいてもそわそわいたたまれない
染み付いた否定列挙は自明の理
いつもきょとんとして
いたいだけです
壁伝いに延々歩く
登って登ってずり落ちる
愚かな縄跳びを飛び続ける
愚にもつかない困難とベッドを共にする
得意技の羅列にさえ飽き飽きして
投げやりの穴を掘り進む
水がじわじわ染み出て
壁の向こう側はやたら海
きょとんとすることさえ
インポッシブルなのです
2004年12月
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