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涸れた倦み

  • 人間をつくりたいひと - 1月1日からThe Grapes of Wrathを翻訳し始めました。ドイツ系アメリカ人Jhon Steinbeckの作品です。邦題は「怒りの葡萄」です。私は邦題を付けていません。ヘンリィ・フォンダで映画化されていますが、字幕はありません。文庫本で上中下と3冊になる長さです。昨日はセンテンス二つ、今日は長いセ...
    1 週間前

涸れた倦み

2010年10月3日日曜日

この椅子

一瞬の夏

夜半の風が剥き出しの膚を冷やす
無灯火で歩む秋(とき)の径は
月影に散らばり乱れ
むごたらしい夏草の荒れ野を通って此処にいるのか
記憶の轍(わだち)は切れ切れで

畠でトマトが熟す
肥えた南瓜の蔓(つる)が地を這う
あの午後のピューレは肉汁を染めているのに
思い出せない季節の色

今年も出さなかった暑中見舞いが
箪笥の奥の畳んだままのワンピースが
炎の糸を縒る
睦まじい白鳥(しらとり)を見上げては
行く先を追った海辺

求めない
流れ着く岸辺を探さない
予め無辺のこの椅子
考え込むことも無く
わだかまりも無く
私はひとかどの燃え殻になる
窓辺に突っ立つだけの固体の拙(つたな)さ

2008年9月22日月曜日10:07:11