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涸れた倦み

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    4 週間前

涸れた倦み

2010年10月23日土曜日

時の澱

Andrea Bocelli - Caruso

人を見て人のようになりたくて
人のようにありふれた人になりたくて
人のようにありふれた家に住みたくて
ささいなことで喜んだり
生きていると思えたり

けれど

わたしは人ではなくて人にはなれなくて
人が欲しいものは欲しくなくて
人がいらないものが欲しくて
人が諦めるものが諦められなくて
もうこんなに生きているのに
命ががら空きで
手にすれば何もかも不自然な形に崩れて
しまいに手に入れたことさえ忘れて
今日もこうして

ただ

寂しいと言えばすむくらいの
ことですけれど
抱いてくださいと口にすればすむくらいの
単純なことなのですけれど

わたしにはわたしなりの言葉を発する
きっかけと回路があって
その回路は今途切れてしまっていて
わたしにつき合わせることはできなくて

ですから

今日もだだをこねた子供のように
あめが欲しいあめが欲しいと言いながら
ヨダレを垂らしながら
実はお口の中
ふたあつもみっつも頬張っていたりする
愚かな時の澱(おり)に漂っているのです。

2004年10月