Andrea Bocelli - Caruso
人を見て人のようになりたくて
人のようにありふれた人になりたくて
人のようにありふれた家に住みたくて
ささいなことで喜んだり
生きていると思えたり
けれど
わたしは人ではなくて人にはなれなくて
人が欲しいものは欲しくなくて
人がいらないものが欲しくて
人が諦めるものが諦められなくて
もうこんなに生きているのに
命ががら空きで
手にすれば何もかも不自然な形に崩れて
しまいに手に入れたことさえ忘れて
今日もこうして
ただ
寂しいと言えばすむくらいの
ことですけれど
抱いてくださいと口にすればすむくらいの
単純なことなのですけれど
わたしにはわたしなりの言葉を発する
きっかけと回路があって
その回路は今途切れてしまっていて
わたしにつき合わせることはできなくて
ですから
今日もだだをこねた子供のように
あめが欲しいあめが欲しいと言いながら
ヨダレを垂らしながら
実はお口の中
ふたあつもみっつも頬張っていたりする
愚かな時の澱(おり)に漂っているのです。
2004年10月
The Grapes of Wrath John Steinbeck(悲憤という葡萄)
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Ⅰ
オクラホウマの赤い地方と灰色の地方の一部に最上の雨季が穏やかに巡って来た、そしてそれは脅えた土壌を切り刻みはしなかった。北斗七星が細い流れに十字を切り再び十字を切り直した。最上の雨季はトウモロコシを高くもたげ雑草群や
[…]
2 週間前
