腕に虹だけ 小林旭
星が空から降るような気はしない
あなたがどこにもいないようないるような気はするの
王子様が沙漠を駱駝に乗って来週迎えに来るような気はしない
あなたを玩(もてあそ)んだような気はするの
哀れみのこもった眼差(まなざ)しで
見ていた
其処であきらめて呆れて
見ていた
遠くはずれて
らしくないに折り合いをつける
からだを離れて隔たってあくび
ちいさな時計がかちかち真面目に時を刻む
一つの意味しかないとしたら安らぎはなんとやさしいの
ゆったりとした空
飛ぶ鳥がいるような気はしない
椅子で揺れる人形の
庭に踏み入らない白い葦
星が昨日と明日を知っているような気はしない
あなたにはもうあえないような気がするの
ゆうぐれに身をかがめる
あれもこれも他人(ひと)ごとに似てうつくしい
見覚えのあるもつれた糸が切れ切れで
20:36 2010/07/30 金曜日
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