ジリオラ・チンクエッティ 恋よまわれ Gira l'amore
指を切った
赤い血がまあるくふくらみ
シンクに落ちて滲む
押し込まれた健気な赤い充実
籠の中のトマトが燃え尽き
私は疲れて
ちっぽけな常日頃が憎らしい
キッチンの片隅でじゃがいもの皮を剥くだけの断罪
胸の痛みさえ与えられない日暮れには
すすり泣きは紙布巾に包んで使い捨て
実(まこと)しやかな屋根の修繕を繰り返す
肩の空ろ
言いそびれました
私はあなたの常夜灯でした
分かれの文字は色を失くし
端書きばかりが妄(みだ)りに長い
不具な思いは散らばり縺れ
純潔が白い布地を抱いて走る夏
私は疲れて
萎れた疵が口惜しい
2008年8月2日 22時53分
The Grapes of Wrath John Steinbeck(悲憤という葡萄)
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Ⅰ
オクラホウマの赤い地方と灰色の地方の一部に最上の雨季が穏やかに巡って来た、そしてそれは脅えた土壌を切り刻みはしなかった。北斗七星が細い流れに十字を切り再び十字を切り直した。最上の雨季はトウモロコシを高くもたげ雑草群や
[…]
1 週間前
